強烈なかゆみや痛み、見るも絶えないブツブツ状の発疹など、いや~な症状を引き起こす毛虫による皮膚炎。
毎年春や秋になると、毛虫に刺されたことで皮膚科に駆け込む人も多いですね。
ほんの数ミリ~数センチの毛虫の毛に、一体どんな毒が潜んでいるのでしょう?あのかゆみや痛みは、どんな成分によって引き起こされるのか!?
毛虫の皮膚炎で代表的な「ドクガ類」と「イラガ類」の毒成分について、詳しくまとめてみました。
<今回参考にしたもの>
図解入門よくわかる病理学の基本としくみ 著者: 田村浩一
shinbashi hospital「ちょっとこの季節要注意!虫刺症について
など
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Contents
ドクガ類の毒成分
サクラ、ウメ、モモ、バラ、ツツジ、ツバキなど、身近な木に発生し、刺されると強烈なかゆみとブツブツに襲われる「ドクガ類」の毛虫。
風に乗って飛んできた毛に触れるだけでも皮膚炎を起こしてしまうため、完全に被害を防ぐのがなかなか難しい毛虫です。
そんなドクガ類の毛虫が持つ毒成分は、主に次の5つです。
①プロテアーゼ
触れるとアレルギー反応を起こす成分で、かゆみのもとになります。
パパイヤやパイナップルにも含まれているため、これらを食べるとアレルギー反応が起きて、口の中や口周りがかゆくなってしまう人もいます。
②ヒスタミン
炎症を引き起こす成分です。人間の体の中にも備わっていて、刺激があると放出され炎症を起こします。
放出される部位によって炎症の様子は違いますが、肌の場合はかゆみや痛みとなってあらわれます。
③エステラーゼ
ヒスタミンの放出を後押ししてしまう成分です。
これによりヒスタミンがより活発に働き、かゆみ・痛みが肌に広がります。
④キニノゲナーゼ(カリクレイン)
血圧を下げる働きがある成分です。アナフィラキシーショックに関係していると言われています。
また「ブラジキニン」という痛みや炎症を起こす成分を生むため、他の毒成分と同じく、肌のトラブルにつながっていきます。
⑤ホスホリパーゼA2
ヘビやハチの毒にも含まれている成分です。アレルギー反応を起こします。
アナフィラキシーショックを起こす原因と言われていて、ハチに刺されたときに具合が悪くなるのはこのためです。
ドクガ類の毒には、ハチに比べて少量しか含まれていないため、命にかかわることは滅多にありません。
ドクガ類の毛虫に刺されたときの、あの我慢できないほどのかゆみ・掻いたあとの痛痒い感じは、これら5つの毒成分から来ていたのですね!
ドクガ類の毛虫に刺されたときには、とにかく早めに皮膚科へ!(できれば掻かずに、水で刺された部分を洗い流しておくと、毒毛が皮膚の奥まで刺さらずに済みます)
皮膚科では、抗ヒスタミン剤入りのステロイド軟膏を処方してもらえます。それをしっかり塗って治しましょう。
軟膏を塗れば、赤くてブツブツした見た目は1日でかなり良くなりますよ。そして、かゆみと痛みも驚くほど引いてくれます。(←筆者の実体験)
ちなみに、皮膚科に行かずに自然に治そうとすると、めちゃくちゃ時間がかかります。(数週間くらい)そして、かゆみや腫れなども続きます。
おとなしく皮膚科へ!
<こちらの記事も参考にどうぞ>
>>毛虫の毒で熱が出る!?その理由と対処法・二次被害を防ぐワザを解説
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イラガ類の毒成分
イラガ類の毛虫による被害が増えるのは、夏から秋にかけて。
カキ、クリ、ウメなどの木にくっついている毛虫です。こちらも身近なところに潜んでいますね。
イラガ類の毛虫に刺されたときの特徴は、とにかく「痛い」こと!かゆみはほとんどなく、刺すような激しい痛みを感じます。
そんなイラガ類の毛虫が持つ毒の成分は、主に次の2つ。
①ヒスタミン
こちらはドクガ類と同じく、肌に炎症を起こす成分です。
②たんぱく性発痛物質
イラガ類の毛虫に刺されたときの痛みは、この成分が主に引き起こしています。
その名の通り、痛みを発したり、腸を収縮させる作用を持っているようです。
発痛物質が毒の成分であるため、イラガ類の毛虫に刺されたときは飛び上がるほど痛いです!
ドクガ類に比べて、症状が治まるまでの期間は短いですが、それでも数日間から1週間くらいは痛みや赤み・腫れなどに悩まされることになります。
早く症状を鎮めたいなら、やっぱり餅は餅屋。皮膚科に受診するのが一番ですね。
イラガ類の毛虫に刺されたときも、抗ヒスタミン剤入りのステロイド軟膏を塗って対処します。
まとめ
数センチの小さな体なのに、その毒の成分には私たち人間を悶絶させる特徴がいっぱい!
毛虫の生き残るための武器はあなどれません・・・。
太陽光が気持ちよく、薄手の服でちょうどいい季節に増える毛虫による皮膚炎。風に乗って毒毛が飛んでくる場合もあるので、なかなか防ぐことが難しいです。
街路樹の側を通った直後に「もしかして・・・」と思ったら、まずは気になる部分を水で洗い流して、すぐに皮膚科に向かいましょう!
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