育児って、いざやってみると想像以上に大変です。
数秒先の行動が全然予測できない子供とずっと一緒に過ごす生活は、いつも神経がピリピリ!
思わず感情が噴火のように噴き出して、子供を怒鳴ったり叩いてしまうことで悩んでいるママも多いことでしょう。
この記事を書いている筆者は2児の母ですが、過去に同じような経験がありました。
本当は可愛くて仕方がない自分の子供を、怒鳴り散らしてしまった・・・。叩いてしまった・・・。
あとになって、「何であんなひどいことしたんだろう・・・」と後悔するものの、気が付いたらまた同じことをしてしまって自己嫌悪の日々。
そんな毎日を過ごし、私はいい母親じゃないんだ・・・と自信を失いかけていた時、「子育てにまつわる脳科学・心理学」のお話に出会いました。
なぜ育児でイライラするのか?
怒鳴ったり叩いたりしないためにはどう対処すればいいのか?
脳の仕組みや心理学の観点から「子育て」を見つめることで、不思議とスッキリした気分になり、それからはイライラする回数が減っていきました。
今回は、育児でついついイライラして爆発してしまうママに向けて、私の知ったことをシェアしていければいいなと思い書いていきます。
Contents
育児でイライラするのは「悪い感情」ではない
イライラして子供にきつく当たってしまうと、「何でこんなにイライラしてしまうんだろう。私は最低な人間だ・・・」と落ち込んでしまいますよね。
イライラすること=悪い感情と思ってしまいます。
しかし、脳の仕組みから言うと、感情にいいも悪いもそもそもないのです。感情は、水を飲み過ぎるとトイレに行きたくなるのと同じで、「生理現象」です。
何かの出来事がきっかけで、「反射的に出る」のが感情ということです。だから、「イライラする」という感情自体が悪いことなのではなくて、「その前に起きている出来事」にイライラの原因があります。
なので、イライラすると感じたのであれば、イライラの元になっている出来事を解決するように意識を向けてみます。
例えば、ワンオペ育児で疲れ切り心の余裕がないなら、それを素直に周りに相談して助けを求めてみる、とか。
朝、時間がなくて焦ってイライラするなら、朝にやっている家事を前日の夜の余裕のある時間にずらす、などです。
イライラの元になる出来事の数が減れば、そもそもイライラして子供にきつく当たることが減っていきます。
それでもイライラしてしまったら・・・?
育児中に、頭にカーッと血が上るような感覚を覚えたら、すぐに子供の側を離れ、「6秒」カウントします。
家にいるなら、隣の部屋にサッと移動できます。外出中なら、目線を遠くに向けるような感じで、子供の側にはいるものの、意識は遠くの景色、みたいな感じです。
視線を子供以外に向けたまま、6秒頭の中で数えます。
この「6秒」は、怒りのピークが6秒間しか持たないことからきています。
カーッと頭に血が上ってから「6秒間」
これをやり過ごしてしまえば、子供にガーッと怒鳴って、手を上げてしまうことはほぼなくなります。
そして、ここからが大事。
6秒をやり過ごすことのできた自分自身を、「よくやった私!」と褒めてあげます。
育児中のママは、「母親なんだから子育てして当たり前」という目で見られますから、人に褒められることがあまりありませんよね。
なので、知らず知らずのうちに、「自己肯定感(自分を素晴らしいと思うイメージ)」が薄れていってしまいます。
子育ては、酸いも甘いもいろいろあります!それを毎日こなしている自分・怒りをコントロールできた自分を、自分自身で認めてあげるのが大事です。
怒りのピークの6秒をやり過ごし、子供に怒鳴ったり叩いたりすることを防げた時には、ママはダンナに黙ってハーゲンダッツ食べたらいいんですよ!
ママの価値観と子供の価値観は違うものだと認める
食べ物で遊んだり、おもちゃを部屋中に巻き散らかしたり・・・。
子供の行動は、ママにとっては時に理解しがたいものです。
「なんでそんなことするのーーー!!」イライラ!!!
部屋が汚れたり、ものが壊れたりすると、ママにとっては大きなストレスとなります。
しかし、子供にとってはどうでしょう?
食べ物で遊ぶとどうなるの?純粋にその先の結果が知りたくてやっています。
おもちゃを部屋中に巻き散らかすのは、空想で遊んでいるからです。
特に、ダダをこねることが多い年齢の3歳~6歳の時期は、脳の発達で言うと「何かに対しての答えをひたすら探究する時期」「空想の世界をつくり、現実と行き来する時期」だそうです。
ママにとっては「当たり前にやってはいけないこと」でも、子供にとっては「好奇心があるからとる行動」や「自分自身の世界で遊んでいるからとる行動」だったりします。
そもそも、ママの価値観と、子供の価値観が違うものだと悟っておけば、子供の行動に対してイライラすることが少なくなります。
自分自身の都合で子供を動かすのではなく、「行動の先の結末」を教える
「こんなに散らかして!早く片付けなさい!」
「食べ物で遊ぶのやめて!!」
ついつい感情的になってやってしまいがちな、上のような注意の仕方。
元をたどれば、「私がせっかく片付けた部屋を散らかされるのがイヤ」「食べ物で遊ぶと周りが汚れて、掃除の手間がかかるからイヤ」という、ママの都合が隠れている場合があります。
このように、「ママの都合」で子供に注意をしても、伝わりにくいです。
それよりも、
「おもちゃを片付けたら、おいしいおやつが食べられるよ。片付けないと、おやつがテーブルに並べられないから、食べられないよ。どっちがいい?」
「食べ物をきちんと口に入れればおいしいよ。口に入れなくて手で遊んでいたら、お腹が空いたままだよ。どっちがいい?」
といった感じで、「行動の先に起こる結末」を落ち着いて伝えてあげると、子供は理解してくれます。
そして、「選択肢を与えて、子供に選ばせてあげる」というのもポイントです。自分から選んだのであれば、怒鳴って無理やり言うことを聞かせるよりも、すんなりと行動に移してくれます。
もちろん、100発100中でママの思い通りに子供が動いてくれるかと言えばそうでもないですが、イライラしながら無理やり子供に行動をさせる機会はぐんと減っていくはずです。
それならば、たまに子供の意思が強くて予定通りの行動ができなかったとしても、「たまにはいいか」とママの心に余裕が生まれますよね。
子供の感情は否定せずに「認める」
泣いて自分の考えを主張する子供に対して「ダメ!」や「泣くんじゃない!」と、否定をしてしまい、なおさら泣き叫ぶ結果となってしまった・・・というケースがありますよね。
ママが理解できない子供の主張は、ついつい否定をしたくなってしまいますが、こんな場合は「子供の感情を認める」と、事態はいい方向に向かいます。
例えば、「チャイルドシートに乗りたくない!」と主張する子供に「そうか~、〇〇ちゃんはチャイルドシートに乗りたくないんだね~」という感じ。
子供の感情に、真正面から否定で打ち返すのではなく、フワッとキャッチしてあげるようなイメージです。
そうすると、不思議なことに泣いていた子供が落ち着いてくるのです。自分の感情がママに認めてもらえたことによって、「承認欲求(人間が生まれながらにして持つ、人から認められたいという欲)」が満たされるためですね。
そのあとに、少し落ち着いた頃を見計らって、子供に選択肢を与えます。
「チャイルドシートに乗ったら、公園に行って遊べるよ。乗らなかったら、車が出発できなくてずっとここにいるよ。どっちがいい?」
という風に。
すると子供は、自分にとって楽しいと思う選択肢を選ぶようになります。
選択肢は、子供が楽しいと思う次の行動=ママが子供に取って欲しい行動にしなければならないので、少しテクニックが必要です。
ただし慣れてしまえば、子供はすんなり泣き止んでくれますし、ママも必要のないイライラを抱えなくてすむので心が軽くなりますよ。
脳は「ダメ!(否定)」を理解できない
例えば「泣いてはダメだ」と否定形を使って命令されたとき、脳は次のようにイメージします。
上の図のように、脳は「否定そのもの」を理解できません。
「泣いている自分」をイメージして、それを打ち消すことでようやく言われていることの理解ができます。
一旦自分の中でできあがったイメージを打ち消すことになるので、脳や心に負担がかかります。
子供だけに限らず、大人も「ダメ!」と否定されていい気分がしないのは、そのためです。
「○○してはダメ!」と子供に言いたくなった時は、それを「肯定する言葉」に置き換えてみてください。
例えば、「泣いてはダメ!」と言いたくなったら「いい顔しよう!」と肯定します。
「道路に飛び出ちゃダメ!」と言いたくなったら「そこでストップ(止まろう)!」と肯定します。
先ほどの、チャイルドシートに乗りたくないと泣いて主張する子供の例をもう一度出すと、
「そうか~、〇〇ちゃんはチャイルドシートに乗りたくないんだね~。よし、分かった。まずいい顔しよう!いい顔になるまでママ待ってるね」
(子供が落ち着いてきたら)
「チャイルドシートに乗ったら、公園に行って遊べるよ。乗らなかったら、車が出発できなくてずっとここにいるよ。どっちがいい?」
という流れになりますね。
「うるさい!泣くんじゃない!チャイルドシートには乗らなきゃダメなんだよ!」と言うより、ずっと子供の心に寄り添えるかたちになります。
もちろん、ママの心の負担も軽くなりますよね。
まとめ
本当は望んでいないのに、育児中にイライラして、怒鳴ったり、叩いたりしてしまう・・・。
そんな時には、「脳や心理のしくみ」を思い出して対処してみてください。
- 感情は生理現象なので、良い悪いはない。イライラする引き金となったできごとに原因があるので、そのできごとの解決方法を探す。
- 怒りのピークは6秒だけ。6秒やり過ごせば、怒鳴ったり叩いたりはかなり防げる。
- ママの都合ではなく、子供に「行動の先の結果」を教えて選ばせる。
- 子供の感情は否定せずに「認める」
- 否定形で命令するのは、ママと子供の脳や心に余計な負荷がかかる。肯定形に変換して言葉を口に出すと、スムーズに伝わる。
いきなり全部を意識してやろうとすると、結構大変です。
まずは、イライラしたら6秒カウント!
ここから少しずつ始めるだけでも、子育てはふーっと軽い心で続けていくことができるはずです。
ママも子供も笑顔で過ごせる毎日になりますように!