毎年夏になると必ずニュースになる豪雨。最近では「ゲリラ豪雨」なんて強そうな名前がついて、警戒されていますよね。
ゲリラ豪雨と言うと、いきなりある場所だけザバーッと猛烈な雨が降る・・・といったイメージがありますが、これって夕立と似ていませんか?
ゲリラ豪雨と夕立は同じではないの?呼び分けられる違いとは一体何なの?
気象庁の情報などをもとに、ゲリラ豪雨と夕立の違いをまとめてみました。
この記事で参考にしたもの
- 気象庁「天気予報等で用いる用語」
- 本当は怖い天気―異常気象の今後を予測!対策もわかる
著者:武田康夫
ゲリラ豪雨と夕立の大きな違いは・・・!?
ゲリラ豪雨と夕立は、どちらも真夏に積乱雲が発達することで降ってきます。もくもくと高くのぼる、いわゆる入道雲のことですね。あの雲からザーッと雨が落ちてくるのです。
・・・とすると、一見同じもののように感じます。しかし、ゲリラ豪雨と夕立には決定的な違いがひとつ!
それは「積乱雲が発達する原因」です。
そもそも夕立は夏の風物詩です。夏の暑い日には上空と地表の温度差が激しくなり、暖かくて湿った空気が空のほうに上がって雨雲(積乱雲)になる・・・という、自然の理にのっとって起きる雨です。
それに対してゲリラ豪雨の積乱雲は、人間活動が大きな原因になってできます。
人口の多い都会。どこもかしこも冷房ガンガン・車の排気ガスも地方と比べ物にならないくらい排出される地域では、「夏の自然から出る熱」に「人間が活動することで出る熱」が加わります。
地表に大量にたまった熱い空気は、一気に上空へ駆けあがり、自然の理屈では考えられないようなスピードで大きな積乱雲に発達するのです。
自然の理屈では考えられないようなスピードでもくもくと雨雲ができるから、予測が追いつかない時もあるし、雨が降る地域も限定されます。
この記事の筆者は、実は昔、夕立が降りやすい地域に住んでいました。
そこでは、真夏の暑い日は15時を過ぎるとザーッと夕立が降るのが習慣でした。夕立が降る前には風が吹き始めるので、なんとなく「夕立降るかもな~・・・」と予測ができたものでした。
試しに「夕立」という言葉を辞書で調べてみると
夏の午後から夕方にかけ、にわかに振りだすどしゃぶり雨。雷を伴うことが多く、短時間で晴れ上がり、一陣の涼風をもたらす。
※三省堂 大辞林より
とあります。なんとも風流です。
- 真夏の暑い時期に降る
- 上昇気流でできた積乱雲から降ってくる
- 短時間で激しく雨が降る
という共通点はあっても、やはり夕立は「自然由来の現象」で、ゲリラ豪雨は「人間活動が関係する現象」なのです。
気象庁ではどんな解釈になっているのか?
実は驚くことに「ゲリラ豪雨」という言葉は気象庁の天気予報では正式に使われていません。この言葉は、メディアが作ったものです。
ですが、今では当たり前に通じるようになった「ゲリラ豪雨」という言葉について、気象庁はさすがに無視できなくなったのでしょうか。”天気予報等で用いる用語”という解説ページにて、ゲリラ豪雨のことをこう表現しています。
ゲリラ豪雨・・・局地的大雨、集中豪雨など。
ゲリラ豪雨とみなされる「局地的大雨」と「集中豪雨」については、きちんと意味が決められています。
局地的大雨
急に強く降り、数十分の短時間に狭い範囲に数十mm程度の雨量をもたらす雨。「局地的な大雨」とも言う。
単独の積乱雲が発達することによって起き、大雨や洪水の注意報・警報が発表される気象状態でなくても、急な強い雨のため河川や水路等が短時間に増水する等、急激な状況変化により重大な事故を引き起こすことがある。
集中豪雨
同じような場所で数時間にわたり強く降り、100mmから数百mmの雨量をもたらす雨。
積乱雲が同じ場所で次々と発生・発達を繰り返すことにより起き、重大な土砂災害や家屋浸水等の災害を引き起こす。
気象庁のゲリラ豪雨に対する解釈は「狭い地域に集中して大量に降り、身の危険が迫る可能性のある大雨」ということになります。
それに対して「夕立」の解釈はというと・・・
夕立・・・夏期のみに用いる
これだけ!なんともあっさり。
「昔からの自然現象で、そんなに警戒しなくとも過ぎる雨」ということになりますね。
”突然襲われる”
”奇襲”
といったイメージが強い「ゲリラ」という言葉。まさにゲリラ豪雨は、夕立とは比べ物にならないくらい雨が降るパワーを持ったものだと言えます!
ゲリラ豪雨は予測できない?
人間が排出する熱が関係して降るゲリラ豪雨は、自然現象の夕立に比べて予測しづらいと言われています。
ですが、気象庁では年々雨雲レーダーの精度を上げているようで、最近ではそのレーダーのデータを得られるスマホアプリも登場しています。
100発100中とはいかないまでも、身の危険につながるゲリラ豪雨を少しでも避けられるなら、ありがたいですよね!
気象庁の高性能レーダー「ナウキャスト」と連動しているお天気アプリは「Yahoo!天気」が有名です。(iOS/Android対応!)
こちらに敵意むき出しで降ってくるゲリラ豪雨からは、少しでも身を守るための対策をしておきましょう!
ちなみに、ゲリラ豪雨対策グッズについて、こちらの記事にまとめてあります。ぜひ合わせて読んでみてください↓
まとめ
共通する部分があるため、一見違いがよくわからないゲリラ豪雨と夕立。しかし実は、次のようなハッキリとした違いがあります!
夕立
上空と地表の温度差が激しくなる夏の自然な現象により、積乱雲が生まれ降ってくる、夕暮れ時の短時間の雨
ゲリラ豪雨
夏の自然現象に加え、人口の多い地域で発せられる熱(エアコンの室外機からの熱や車の排気ガスに含まれている熱)も合わさることで、予測が追いつかないほど短時間で積乱雲が生まれ、身の危険を感じるほど強く集中して降ってくる雨
ゲリラ豪雨はここ数年、毎年のようにどこかの地域で報告されています。
メディアが作った言葉ですが、近い将来「身の危険が迫る雨」と定義され、気象庁の天気予報でも使われるかもしれませんね。
局地的大雨って言われるよりも、ずっと恐怖感がありますからね・・・。
こちらの記事もあわせてどうぞ!↓