潮干狩りであさりをたくさん採ってきた場合、一度に食べきれない・・・なんてこともありますよね。
余って腐らせてしまうのはもったいない!そこで考えるのが、「冷凍保存」です。
さて、腐るのは食い止められる冷凍保存でも、凍らせる前と後のあさりでは、栄養や食感・味に変化はあるの?って、気になりませんか?
せっかくならば美味しくいただきたい!あさりの冷凍について、資料をもとにまとめてみました。
<今回参考にしたもの>
冷凍さえあれば171レシピ 主婦の友社 編集
エフシージー総合研究所資料 「貝の冷凍保存」
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Contents
あさりを冷凍すると栄養素はどう変化する!?
以前テレビ番組にて、「シジミは冷凍するとオルニチンが増加する」という話をしていたことがあります。
その延長で「同じ貝なのだから、あさりも冷凍すると栄養素が増えるのでは?」と思っている人もいるでしょう。
さて、本当のところはどうなのか!?
ここで、エフシージー総合研究所がおこなった「貝の冷凍実験」の資料をお借りします。

↑冷凍して1か月後の栄養素の変化
確かに、シジミに関してはオルニチンは増えているものの、あさりは全体的に栄養素が少なくなっています。
上の表に書いてある栄養素の名前がちょっと難しいので、それぞれどんな成分か説明しておきますね。
あさりを冷凍することにより減ってしまう栄養成分
- コハク酸・・・貝に含まれる「うまみ」の成分。独特の酸味とうまみで、味に深みを出すもの。
- 遊離アラニン・・・アミノ酸(たんぱく質)の一種で、「うまみ」の成分。
- 遊離グルタミン酸・・・アミノ酸(たんぱく質)の一種で「うまみ」の成分。
- タウリン・・・アミノ酸の一種で、肝臓の機能を助ける働きがある。
このように、あさりを冷凍することによって、主に「うまみ」の成分が少なくなってしまうことが分かりますね。
筆者個人的には、貝類の楽しみが「独特のうまみを味わうこと」なのに、そのうまみが減ってしまうのはちょっと寂しい気がします・・・。
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あさりを冷凍することによって、味はどう変化する?
あさりはシジミのように、冷凍することでプラスになる成分はなく、全体的に栄養素が減ってしまうことが分かりました。(とくに「うまみ」の成分が減る!!)
では、冷凍すると「味」はどのように変化するのでしょう?やっぱりおいしくなくなるの?
これが不思議なことに、冷凍した後のあさりの方が「味が濃い!!」と感じる人が多いのだとか。
その理由は、あさりを冷凍することによる「細胞組織の変化」です。
冷凍して、その後解凍することにより、あさりの身の細胞組織が壊れ、貝の身からうまみ成分が流れ出しやすくなります。
そんなに嚙まなくとも、舌でうまみを感じやすい状態になるということですね。
そのため、冷凍した後のあさりの方が、「なんとなく味が濃くなったように感じる」のです。
うまみ成分は減っているのに、味覚ではうまみを感じやすくなる・・・。
何とも不思議な現象です。
あさりを冷凍することによって、食感はどう変化する?
冷凍することによってうまみは減るけれども、舌ではうまみを感じやすくなる・・・。
栄養素は抜きにして「味」だけで言うと、冷凍前のあさりと変わらないのでは?と思いますよね。
ところが、冷凍したあさりは「食感」で大きな変化が出てきます。
冷凍→解凍したあさりの食感
- 身が縮んで、冷凍前よりも可食部が小さくなる
- 細胞組織が壊れるため、ふっくらした身の厚みがなくなる
- 細胞組織が壊れるため、プリッとした食感が少なくなる
このように、冷凍したあさりは、「身そのものを味わうにはちょっと物足りない・・・」という食感になってしまいます。
ですので、あさりの身そのものを楽しむ、酒蒸しやボンゴレビアンコなどにはあまり向きません。どちらかと言えば、すまし汁やクラムチャウダーなど、汁物の具の一部として食べるのがおすすめです。
冷凍した後のあさりはうまみ成分が出やすくなっている状態ですから、スープごといただく料理にはぴったりというワケです。
あさりの上手な冷凍方法
あさりは本来ならば、冷凍せずに食べきってしまうのが、栄養的にも味わい的にもベストです。
しかし!やっぱり食べきれないよ!という場合は、次の手順に沿って冷凍してみてくださいね。
あさりの冷凍方法の手順
- まずはしっかりと砂出しする!(3%の濃度の塩水の中に、あさりを重ならないように浸し、容器にフタをして1晩置きましょう)
- あさりをよく洗って、殻表面の水気を拭き取る!
- 冷凍用ポリ袋にあさりを入れ、余分な空気を抜いてしっかり閉じる!
- あさりが平らになるように位置を調整し、冷凍庫の中に入れる!
スープなどの汁物に使うなら、冷凍庫から出してすぐにお鍋にIN!でも大丈夫です。
生ものですから、2~3週間以内を目安に、できる限り早く食べ切ってくださいね!
まとめ
一度に食べきれなくて余ったあさりは冷凍保存ができます。
ただし、うまみ成分をはじめとする栄養素は少し減ってしまいます。
しかしながら、冷凍後のあさりは「味がよく出る」特徴を持っているので、それを使って汁物を作ればおいしくいただけます!
腐らせて捨ててしまうのはもったいないので、上手に冷凍を利用して食べきりたいですね!
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