子供ころ、学校の帰り道でよくやりませんでした?
「ツツジの甘い蜜を吸う」ということ。
摘んだツツジの花の根元を吸うと、甘い蜜が楽しめてテンションが上がったものです。筆者は多い時には、一度に10個以上は吸った記憶があります。
さて、そんなツツジの甘い蜜。
実は甘さの裏に「毒」を含んでいる種類があるって知っていましたか?
知らないでは済まされないかも!?ツツジの見ごろを迎える前に、有毒種類を避けるための知識を付けておきましょう!
<この記事の参考資料>
食べる野草図鑑 著者: 岡田 恭子
日本の有毒植物(フィールドベスト図鑑)
厚生労働省資料「自然毒のリスクプロファイル」
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Contents
まずはじめに:ツツジの蜜が甘いのはナゼ?
ツツジの蜜が甘い理由は、もちろん、この蜜を吸いに来た昆虫に花粉を付けて運び、繁殖するためです。
ツツジの花の中の蜜を吸うには、長いストローのような口が必要になります。ラッパ型をしていますからね。
ですから、蜜を吸うことが出来るのは、アゲハチョウなどの一部の昆虫だけとなります。
甘~い花の蜜は何でできているかというと、
- 水分(約50~60%)
- 糖分(約40%)
- たんぱく質・ミネラル(約5%)
です。
甘さの「素」となるのは、光合成によって葉で作られたデンプン質です。
それが「ショ糖」となって、花びらの奥に溜まると、ツツジの甘い蜜ができます。
昔から、どうして植物からあんな甘い蜜が採れるのか不思議でたまりませんでしたが、デンプンが素になっていたというワケですね。
人間も昆虫も、「甘い味」には「栄養」を感じるのか、いつも魅せられるものです。
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間違って吸うと大変!毒のあるツツジ3種類!
実は、ツツジ科の植物には毒のあるものが多いです。
その中でも、昔チューっと吸ったことのあるツツジに形が似ていて危険な3種類をご紹介します。
①レンゲツツジ
特徴
北海道から九州まで広く分布しているツツジで、庭木としても植えられています。花の色はオレンジ~朱色。
高さ1~2mの低い木で、6月頃から直径5cmほどの花が咲きはじめます。
自生しているレンゲツツジを、放牧されている牛や馬などは食べないのだそうです。(毒があると分かっているから!)
蜜を凝縮させたはちみつにも毒性があると危険視されているため、日本の養蜂業者は、レンゲツツジのない場所ではちみつを集めるか、花が咲く時期を避けて集めています。
②キレンゲツツジ
特徴
レンゲツツジの花の色が黄色になった種類です。
分布している場所や花が咲く時期などは、レンゲツツジと同じです。
③シャクナゲ
特徴
北海道から九州まで、広く分布している花です。園芸用で「セイヨウシャクナゲ」という名前でも販売されています。
高さは3~4メートル。花が咲く時期は4月~5月頃です。
画像ではピンク色の花ですが、他にも白・赤・黄色などの色があります。
どれもパッと見、昔懐かし吸ったことのあるツツジと同じ形の花ですね!
ツツジの蜜は甘い=吸っても大丈夫
と思い込んでいると、大変なことになりそうです。
毒のある蜜を吸うとどうなるのか?
毒のあるツツジの蜜に含まれているのは、グラヤノトキシン(ロドトキシン)類という成分です。
このグラヤノトキシンは、ハエの殺虫剤として昔使われていたこともあります。(グラヤノトキシンを含む植物を乾燥させて、汲み取り式のトイレに入れていた)
さて、グラヤノトキシンを含むツツジの蜜を吸うとどうなるか?出る可能性の高い症状は次の通りです。
- おう吐、下痢
- 酩酊状態
- けいれん
- 神経まひ
- 呼吸困難
嫌です、嫌すぎます。どれも苦しい症状ばかり!
直接蜜を吸わなくとも、例えば、毒のあるツツジの蜜から作られたはちみつなどから中毒になったケースもあります。これは、特に外国で多く報告されています。
外国から持ち帰ったはちみつで中毒になったケースが、日本でもあるようです。
甘い蜜の裏側に、実は危険をはらんでいる・・・。
ツツジの蜜には気を付けなければならないことが、改めて実感できますね!
まとめ
見た目が華やかで、おまけに蜜も甘い。
幼い頃の帰り道に吸っていた記憶があるからか、ツツジは一見無害に見えます。
しかし、ツツジ科の植物には、密に毒を持っている種類があることをお忘れなく!
「パパは(ママは)昔、ツツジの蜜を吸って遊んでいたんだよ。甘くておいしいよ。吸ってみる?」なんて誘い言葉は、お子さんにかけてはいけません。
ツツジは見て楽しむもの!
甘い蜜は昆虫に味わってもらって、私たち人間は口に入れないほうが良さそうですね。
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